木々のささやき 350号

素心学を学び続けよう

 毎年この時期、来年度の素心学塾の申し込みが始まります。この一年を振り返って「さらに素心学を学び続けよう」と決めました。

 「素心学の定義」の中に次のようなくだりがあります。

 

 『素心学を習得した人は、諸事の判断に誤りがなく、また無理がなく、まわりの人や自然に支持され、ものごとを成就させていきます。』

 

 素直さを身につけると、自我の意識(自分中心に考えてしまう)や業の意識(過去の知識や経験にとらわれてしまう)といった心の「クセ」が正され、ものごとが正しく判断できるようになり、誤った判断をくだすことがなくなります。同時に自分の思いや考えを無理に押し通すこともありません。周囲の人を思いやり、周囲のひとや自然との調和を大切にすることで周囲の人や自然から支持されます。何かやろうとすると周囲の人からも協力を得ることができ、その結果ものごとを成就させることができます、という事です。同時にその人の持つ雰囲気も和らいできます。

 これまで長い間素心学を学んできましたが、果して上のような人物に成り得たかというと、まだまだその道のりは遠く、その域に達していません。以前に比べ、自分のくだした判断が間違っていたなと反省することは最近多少少なくなってきたものの、人との関係においてはまだまだ不十分と言わざるを得ません。仕事では、一線を退いているにもかかわらず、知らず知らずのうちに自分の意見や考えを通したいという思いが先に立つことがあります。同じようにこれまでの経験や知識を優先させるあまり、周囲の人に不快さを与えてしまっていることもあり、まだまだ未熟だなぁ、自己を知り自己を正す行動にかけているなぁと反省しています。

 正しい判断をくだすには、自分の心の「クセ」を除いておかなくてはなりません。自分の心の「クセ」がある間は、知らず知らずのうちに自分にとって都合のいい、自分寄りの判断をくだしてしまいます。その結果、なかなか周囲の人にその判断を受け入れてもらえず、協力を得ることもできません。場合によっては相手と衝突してしまい、人間関係を損なうことすらあります。いくら努力しても、ものごとがうまくいかないことがあります。その原因は、心の「クセ」を正すことがまだできていないところにあると思っています。

 これからも素心学を学び続け、心の「クセ」をもっと正し、ものごとが正しく判断できるようになり、ものごとが成就できるようになる一方、周囲の人とも良好な人間関係を築き、幸福な人生をおくりたいと思っています。

 

 

2020年3月 350号より 芳野 栄