共存共栄

 おかげさまで9月18日をもちまして、木輪は創業35周年を迎えることができました。

 ひとえにお客様や、地域の方々をはじめとしてスタッフや関係者の皆様のご愛顧、ご支援の賜物でございます。心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 昨今、米の消費量が年々減少しているというニュースを聞きます。調べてみますと、昭和37年に年間一人当たりの消費量がピークであったところから、現在半減し、年間一人当たり50キロほどだそうです。この原因は食生活の多様化、少子高齢化、世帯構造の変化などさまざまな要因があるのですが、私はこの事実を危惧しております。「パン屋なのだからパンが売れていいのでは?」という声もありますが、古くから日本の文化を支えてきた稲作中心の食文化は大切にしたいという思いがあります。パンを造って売ることを生活の糧としているものとして矛盾しているかもしれませんが、私は「共存共栄」という考え方を好みます。私はパン屋を営み、パンを作っていつでもパンを食べられる環境にありますが、スーパーやコンビニでもパンを買って食べます。もちろん、市場調査や情報収集といったビジネス的な意図で買う場合もありますが、ほとんどは「食べたい」という欲求のもとに買います。他のパン屋でも同じです。スーパーやコンビニに並んでいる大手メーカーのパンにはその良さがあり、私たちのような個人店にはお店それぞれその良さがあります。どちらか一方ではなく、どちらもその時々のニーズに合わせて必要であると思います。私は、その「良さ」を明確にできるお店というのがこれからは支持されるお店なのではないかと考えています。

 私たち人間ひとりひとりもそうですが、地球上に存在するすべての生物がひとつひとつ異なるようにお互いがお互いに何かしらの影響を及ぼしあって、この世の中は均衡が保てているような気がしてなりません。そのバランスを自分のエゴ(わがままな想い)で崩すのではなく、お互いにその良さを認めつつ、その恩恵に感謝しながら共存共栄していくことが、無理のない、自然の流れに逆らわない生き方だと思います。

 私たちは100年続く会社を目指しています。私はこの世で100周年を見届けることはおそらくできませんが(笑)、木輪という会社の「良さ」を発揮し、皆さまにとってお役に立ち、必要とされ、愛される企業にしていきたいと思います。