木々のささやき 346号

わかりやすく、丁寧に伝える

 素心学は、日常生活の中で活かせてこその学びであると思っています。同時に人に伝える場合、相手が日常生活に活かしていけるように伝えていくことが大切だと思っています。

 以前、小学生の子どもさんを持つ女性スタッフと”いじめ”の問題について話をする機会がありました。「相変わらず、いじめがなくならないね。どうしたらよくなると思う?」という私の問いに、彼女は「子どもに思いやりの心が育ってくると、いじめは次第になくなっていくと思います。」と答えてくれました。そこで「では、思いやりの心を育てるには、どうしたら良いと思う?」と質問したところ彼女から答えが返ってきませんでした。その時、私は彼女に対して素心学で学んだことを日常生活で活かしやすいように伝えていないことに気づきました。素心学を学ぶ中で、思いやりの大切さや思いやりの心を育てていく方法などを教えていただいているにもかかわらずです。

 木輪では、12年前より社員に思いやりの心を育てていただきたいという思いで素心学の中にある「社会人としての日常の心がけ21項目」のうち毎月1つを1カ月間意識して過ごしていただき、その感想を報告書にして提出してもらっています。おかげさまで、木輪のスタッフに思いやりの心が育ち、あたたかな社風を築くことができています。

 本来は「こうした取り組み(日常の心がけの実践)を家庭でもおこなうと、家族(子ども)にも思いやりの心が育ってきますよ。そして、あたたかな雰囲気のしかも和気藹々の家庭づくりができますよ。」と伝えてあげておくべきでした。話をしていた女性スタッフに改めて「家庭でも子どもさんと一緒に取り組んでみてはどうでしょうか」と”社会人としての日常の心がけ”に取り組むことの良さを伝えました。

 このように、素心学で学んだことを日常生活に活かしやすいように伝えることで、素心学がより実生活の中で身近なものになるにちがいありません。他にも人間関係に悩む人などにも、その解決の手助けとなる素心学の学びを、わかりやすくていねいに伝えてみたいと思っています。

 日常生活に活かしてこその素心学であると思っています。

 

 

 素心学は、知識を多く得るために学ぶのもではありません。家庭や職場、地域社会という場で、生活をより豊かにするために学び、行動に移すのです。それは「素心即生活」と言ってよいでしょう。(池田繁美先生)

 

 

2019年11月 346号より 芳野 栄