木々のささやき 304号

「不満」から「感謝」へ

 池田繁美著月刊素心第114号には、「心がまえを変える」と題して、次のように書かれていました。「不満を抱くことから感謝することに心がまえを変えることで幸福な人生が実現できます。」また、「不満は不幸の道、感謝は幸福の道」とも書かれていました。さらに「不満に思うこと」と「感謝すべきこと」をそれぞれ書き出してみて下さいとも書かれていましたので早速それぞれを書き出してみました。

 すると、「不満に思うこと」は意外に少なく、以前不満に思っていたことは、もう忘れてしまいました。「不満に思うこと」って案外そうしたものかなと思いました。その原因はよくよく考えてみると、自分自身にあることが多いこともわかりました。また以前不満に思っていたことが、実は感謝すべきことだったということもあることもわかりました。例えば、サラリーマン時代のことですが、一年間の実習を終え本配属前に、人事担当者から希望を聴かれたので「研究部17以外であればどこでも構いません。」と答えました。しかし、配属先は運悪く研究所配属となり大いに不満を抱いたものです。しかし、そのおかげで、分析力やデータ管理の大切さ、論理的なものごとの考え方などしっかり学ぶことができ、今の仕事に大いに役立っています。何より、妻と知り合うことができました。また、十年のサラリーマン生活で十箇所以上配属先が変わり苦労しました。「人を便利屋のように使って」と不満を持っていましたが、そのおかげで、生産管理、品質管理、工程管理はじめ工場内のシステムなど幅広く学ぶことができました。現在、小さいながらも工場で働く上でその時の経験がとても役に立っています。当時は不満であったものが本来は感謝すべきことであったことに気づきました。

 一方、感謝すべきことは沢山ありました。書き出すうちに、その数が多すぎて途中で書き出すのをやめてしまいました。一番感謝すべきは、「現在、ここに元気に私が存在している」ということです。両親や兄・姉はじめ多くの方々のおかげでいま、ここに私は存在できています。同時に社会や自然からも守られ、多くの恩恵を受けています。しかし、多くの人々や社会や自然に対して、これまで受けた恩にお返しできているかと思うと、不充分と言わざるを得ません。すでに他界した、自分の両親に対してでさえそうです。

 これからは、恩を受けた人々や社会や自然に対して、感謝し、感謝の気持ちでこたえていくことを意識して、感謝のある生活を送りたいと思います。

 

2016年5月 第304号より 芳野 栄