木々のささやき 307号

ぬくもりのある心で接しよう

 素心学(池田繁美先生)では、周囲の人に対する思いやりを大切にしています。思いやりのある人こそ、魅力的で人から好かれる人物といえます。素心学では、思いやりを次のように定義しています。

「思いやり」とは周囲の人に不快さを与えないこと。さらにもう一歩踏み込むと安心と喜びを与えることです。周囲の人とは、家族、職場の人、そしてお客様です。」

 私も社員に対する思いやりの実践項目を決めて取り組んでいますが、まだまだ充分とは言えず、物足りなさを感じています。

〈素直に生きる〉(池田繁美著)という本の中で、次の二ヶ所の文章が目にとまりました。一つは、「経営者や上司がひとりの社員を頭ごなしに叱りつけたとします。(中略)社員や部下がうちに帰ってからビールを飲むときの顔を想像してみると、決して安易な接し方はできないはずです。そこまで考えることが、経営者の思いやりです。」もう一つは、「指導者に〈ぬくもりの心〉がなければ相手はついてきません。経営者の心根(こころね)に相手の人生を思いやるぬくもりを感じとると、社員は本気になるものです。その本気が組織になければ、逆境を抜け出せません。

 この二つの文章を読んで、私の社員に対する思いやりの実践との間には、まだまだ大きな開きがあることがわかりました。自分の未熟さに気づきました。社員に対して、その人の人生を思いやることができる思いやりを身につけなければならないと反省いたしました。まだまだ「自我」という心のクセが強いと感じました。この強い「自我」という心のクセを正していくことが求められています。「素心の五行」と合わせて「日常の心がけ」、「二十の徳目」の習得、「謙虚さがなくなる兆候」による自己の振り返りを通して自己を正していこうと思いました。

 もう一つ気をつけたいことは、コミュニケーションをしっかりとるということです。社員に不安をいだかせないということです。「報告、連絡、相談」というと下位の者が上位の者におこなうと考えられがちですが、社員が不安を抱かないようにこちら(経営者)から「報告、連絡、相談」を遅滞なくおこなうことです。いつも私が何を考え、これからどうしたいのかをこちらから伝え、お互いに風通しよくしておきたいと思います。

 ぬくもりのあるあたたかい心で接していけるよう自己を磨き高めていかなければいけないと決意をあらたにいたしました。

 

2016年8月 第307号より 芳野 栄