木々のささやき 324号

「心のクセ」を正していこう

 昨年を振り返ってみますと、とくに六月以降体調のすぐれない日が多くありました。日頃から健康には充分気をつかい、摂生し、無理しないように気をつけていましたが、血圧が少し高くなったり、頭痛や肩こり、腰痛に悩まされ、動悸や不整脈(心房細動)といった心臓の病気まで引き起こしてしまいました。

 体調がすぐれなかったのはなぜかなと考えてみますと、私の「心のクセ」が問題を引き起こしているということにいきあたりました。「心のクセ」とは、自分のことを大切に考え、「自分」と他を区別しようとする「自我の意識」と、これまでの経験や知識が次の行動を誘発してしまう「業の意識」が過剰に働くことをいいます。したがって「心のクセ」があると「自分さえよければ」とか何事においても「自分が大事」といった考え方になります。また、過去にあったことにとらわれてしまって、柔軟な考え方ができなくなってしまいます。

 私の場合、仕事上のことや自分の身ぢかに起きる問題に柔軟に対応できず問題や悩みなどを上手に解決できませんでした。「心のクセ」が、正しく冷静に判断し行動することを妨げていたことに気づきました。仕事の上で私がこれまでにつかんだ知識や経験をしっかり握りしめ、手放すことなく、それを判断基準にしていました。これまでのことにとらわれてしまっていました。一度握りしめた手をゆるめ、手放してみると楽になるのはわかっていても、「心のクセ」が強く手放せないでいました。こうした過剰に働いている「心のクセ」を正していかない限り、再び体調のすぐれない日々がやってくると思っています。

 このような昨年を振り返り、今年の目標として、”心身の健康"、"心身の鍛練”をあげました。「幸せな人生の基本は健康にある」ことをしっかり意識し、それを実現するために、①身体を適度に動かし、健康を維持する。②素直な心を身につけ「心のクセ」を正していく。この二つに力を注ぎたいと思います。素心学では、「心のクセ」を正していくために「素心の五行」(素直な心になるための五つの行動)を示しています。その中には、「歩行」(自然豊かな場所を選んで三〇分~六〇分程度歩くや柔体(体をやわらかくすること)といった、実践することの副産物として健康に寄与するものがあります。今年は、しっかりと「素心の五行」につとめ、「心のクセ」を正し、健康で幸せな一年にしたいと思います。

 

 

2018年1月 324号より 芳野 栄