食の提案

 今年の梅雨は庭の柏葉あじさいが満開でとても見ごたえがありました。いよいよ夏も本番を迎えます。田んぼの稲もすくすくと成長をみせており、暑さに負けず秋には立派な実りを期待したいと思います。皆さまにおかれましても、水分補給をしっかりして体調を崩されないよう、ご自愛ください。

  先日、5年ぶりに木輪のパン教室を開催しました。4月より応募を募り、抽選で6名の方を招待しました。今回は「福岡県産小麦を使用した食パン」ということで、手ごねで生地をつくるところからのスタートです。ソフトな口どけのよい食パンを造るためには、小麦と水を合わせてできる”グルテン”という生地の構造をしっかり作ることがポイントとなります。手ごねで”グルテン”が強く伸びのある生地にするためには、相当な労力が必要となります。一生懸命生地を作業台に叩きつけて、しなやかな生地が出来上がる頃には、当初の緊張感もほぐれ、汗もかきながら(笑)和やかな雰囲気となってきました。

 そこで、今回のパン教室の主旨を私の方からお伝えしました。

「おかげさまで木輪は今年35周年を迎えます。これもひとえにお客様をはじめとして、地域の方々や木輪を支えてくれた数多くのスタッフや関係者の方々のおかげです。これから木輪はさらに多くの方々にお役立ちし、必要とされ、愛される企業となれるよう努めてまいります。その活動の一環として『パンを中心とした食文化の提案』をするべく、34周年には毎月『尚志』(本紙)でご紹介している『おいしいパンの食べ方』をまとめた冊子を作成しました。本日のパン教室では従来のパン造り体験と並行して、この『おいしいパンの食べ方』を実際に体験することで、本イベントのさらなる充実をはかっていきます。」

 過去にも私はパン教室でパンの作り方をお伝えし、理論的に解説することはやってきましたが、「おいしいパンの食べ方」という料理の実演、試食をすることは今回がはじめてでした。

 参加された6名の方々の反響もよく、「今後ともパン教室を継続してほしい」というお声をちょうだいしました。大変嬉しく思い、そのご要望にお応えしていこうと考えています。

 日本での食におけるパンの位置づけは、今まで「間食」が主体であったように感じます。例えばカレーパン、クリームパン、フルーツデニッシュなど、そのまま食べるパンが主体です。ところが欧州など多くの国では2千年以上も前からパンを「主食」として食されてきました。炊いたお米を日本人はそれだけではなかなか食べることはありません。塩を加えて握ったり、お漬物やおかずと一緒に食べるように、主食として食べるパンもそれだけで食べるというより、ひと手間かけて、おいしく食べる工夫がなされています。

 木輪では日本の食文化を変えることはできませんが、古くから伝わるお米を中心とした食文化(おかずなど)とパンを融合する提案はできるのではないかと考えています。パンを普段の食べなれた食事の一部として加え、より豊かな食卓になることをこれからも提案して、皆さまにお役立ちしていきたいと思います。