バトンをつなぐ

 ついに暑い暑い夏がやってきました。夜には田んぼのカエルが、早朝からは蝉の元気な声が聞こえてきます。「暑い~」と百回言っても暑さは変わりませんね(笑)。暑さを受けいれ、涼を求めて、水分をしっかり摂り、心穏やかに過ごしたいものです。

 先日、木輪のスタッフ全員で、福岡にある製粉工場に工場見学に行ってまいりました。私たちが使用する材料の約半分は小麦粉やライ麦粉などの穀粉なので、大変興味深い体験となりました。

 以前にもお伝えしましたが、福岡県は北海道についで全国で二番目に小麦の生産量が多い地域です。古くからうどんやラーメンとして小麦の文化は深く根付いています。ひと昔前までは、国内ではなかなかパン用に適した強力粉と呼ばれる小麦粉は採れませんでしたが、最近では品種改良が進み、パン造りに適した小麦粉が多く採れるようになりました。

 私たちも、この福岡県産の小麦はもちろん、様々な産地で採れる、様々な特徴をもった穀粉を使用して、安心安全でおいしい食品を提供できるよう努めています。

 製粉工場では、国内外各地から取り寄せた原料をサイロと呼ばれる巨大な円筒型の貯蔵庫に一時ストックさせていました。そこから異物を除去し、適度な水分を含ませ、外皮を取り除き、ローラーや石臼ですり潰し、ふるいにかけて粉状にしていきます。工場内は製粉中に発生する熱気と振動音で包まれていました。現在はほとんどが機械化され、AIロボットも導入されていましたが、それらを制御する管理者を含め、たいへん多くの人手がかかって、小麦粉が私たちの手元に届けられていることを知りました。

 製粉会社のさらに源流には農家さんや、農協など関係する方々の手がかかっていることも忘れてはなりません。また、それらの原料となる小麦は自らの命を私たちに捧げてくれているのです。

 そう考えますと、私たちが当たりまえのように手にしている粒の揃った美しい小麦粉はたくさんの命と手間がかかった結晶です。とてもありがたいものです。

 私たち木輪のスタッフができることは、これらたくさんの想いが詰まった原料を安心安全でおいしい食品へと加工し、お客様へお届けすることだと今回の体験を通じて再認識しました。

 また、お客様や地域の方々に喜んでもらえるようにまごころ込めた商品づくりとサービスをおこなうことが源流の生物や生産者からのバトンをつなぐことになる、社会にお役立ちできる唯一の方法だと考え、責任もってこの役割を果たしたいと思いました。