木々のささやき 349号

日めくりカレンダーの活用

 私の部屋の壁に、相田みつをさんの日めくりカレンダーが掛けてあります。日めくりカレンダーは毎日1枚ずつめくって、その日その日の生活の目標にするのが、本来の使い方かもしれません。しかし私の部屋の日めくりカレンダーは、一昨年の12月頃から昨年一年間同じ日にちのところで止まったままでした。その言葉は

   だれうらむことはない

       身から出たさびだなあ

です。

 日めくりカレンダーをパラパラとめくっていて、私の心に引っかかった言葉をじっくり味わっているうちに、1年という時間が経過してしまいました。一つの言葉に出会うとまずはじめに、この言葉は素心学(池田繁美先生)でいうとどのように表現されているのかな?ということを考えます。上の言葉でというと、すぐに浮かんだ言葉が「原因は内にあり」

という言葉です。”人の悩みや苦しみは、その人の過ちに気づかせるために起きるものです”と教えていただいています。身のまわりに起きる出来事を人のせいや世の中のせいにしない。そうした覚悟が人を成長させてくれるという事を改めて体に滲み込ませていただきました。おかげで以前に比べて少しは積極的になれ、謙虚さが身についてきたように思います。

 昨年末、改めて同じ日めくりカレンダーをめくっていますと、今度は「捨てる」というタイトルのところに心がとまりました。

そこには

 どうでもいいものから捨ててゆくんだね

と書かれていました。これは素心学で言うところの「自我執着から離れる」「こだわりやとらわれを捨てる」ことで、心のクセを正し、素直な心を身につけるという事になるのかと思いました。私のこれまでを振り返ってみると、多くのものを得よう、手に入れようとしてきました。そして、それが得られないでずいぶん苦悩をかかえてきました。また自分の価値観や固定観念でものごとを判断し、多くの衝突をくり返してきました。経営から離れて1年経過して振り返ってみると、さほど重要でない事を大事な事だと思い、しっから握りしめてきたなあ、また固定観念に縛られ自由を失っていたなあと反省しています。ここでもう一度立ち止まって本当に必要なものか重要なものかを検討し、さほど重要でないものであれば捨てる。こだわり、とらわれを捨てることで、他者とのわだかまりをなくしていく。そうしたことで、もっと身辺をスリムに簡素化していきたいと思っています。

 次に私の心にひっかかる日めくりカレンダーの言葉は何かな?そして、それは素心学ではどう教えられているのかな?

 

 

2020年2月 349号より 芳野 栄