木々のささやき 306号

これからが本番

 先月私の所属するPANメンバーズ(関西を中心とするパン屋さんの勉強会)の第三期「魅力ある人間づくり講座」が修了いたしました。勉強会の目的は「素心学(池田繁美先生)を学び、魅力的な人物をめざす」ことです。昨年の九月から十ヶ月間の勉強会でした。

 この十ヶ月間で、それぞれに十ヶ月前に比べ、魅力的な人物に近づけたように思います。最終回の体験発表のテーマは「どのように自己変革できましたか」でした。複数の受講者が次のように一年間の変化を語ってくれました。

 これまで人から何かしていただいた時は「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えていましたが、それ以外で感謝するということは、あまりありませんでした。しかし、この勉強を続けていくうちに、感謝することが広がり、毎日食事ができること、朝めざめることができること、一日無事に過ごせたことなどにも、感謝できるようになったということです。他にも毎日使っている製パン機械や器具に対しても、このような機械や器具があるおかげでパンがつくれると思うと、感謝しなければならないと思うようになりましたという受講生もいました。周囲の人に良い影響を少し及ぼすことができるようになりましたという受講生もいました。脱いだハキモノをきちんと揃えることや、食事の前後に、「いただきます」「ごちそうさまでした」と手を合わせ感謝の気持ちを伝えることを習慣化することで、自分の周囲の人もそれにならいはじめ、良い影響の輪が広がっているということでした。周囲の人に感謝の気持ちを伝え続けることで、気持ちが前向きになり積極的に動けるようになり、同僚の結婚式のスピーチにも挑戦できるようになったという発表もありました

こうした十ヶ月を振り返ってみますと、この十ヶ月で魅力的な人物をめざしていく上で、自分の未熟なところに気づき、少しずつその未熟なところを正して来られたのかなと思っています。ですから、これからがこれまでの学びを生かす上での本番です。自分の未熟なところに気づいたなら、そこを一つ一つ少しずつでも日常生活や仕事の中で正していくことが求められます。十ヶ月の学びでようやく、「自己を正す」きっかを得たと言えるでしょう。これからが本番です。

 これからも「自己を正す」行動を継続し、習慣化することで、自己変革をはかっていただきたいと思います。同時に今回の学びをそれぞれの職場の仲間の人にも伝え、仲良い、たのしい、明るい、なごやかな雰囲気の職場づくりに生かしていっていただくことを期待しています。学んだことが周囲に良い影響となってあらわれることを願っています。

 

2016年7月 第306号より 芳野 栄