木々のささやき 333号

事前準備をしっかりしよう

 9月1日素心学研修所開設10周年記念植樹式が行われました。2本の山桜を植樹しましたが、これから成長を続け”深山の桜”とならんことを願っています。

 小雨降る中、植樹式が滞りなく無事終了いたしました。今回の式典の実行委員長である渡辺英雄さんはじめ、植樹チームの皆さまのしっかりとした植樹式に向けての事前準備のおかげだと思っています。山桜の手配、仮植え、そして植樹式のためのさまざまな道具の手配、式典のスケジュールと挨拶者への依頼、当日の運営等々細部にわたってモレのないように事前準備が完璧だったようです。

 渡辺英雄さんから、式典の前々日に「あさっては、挨拶の方よろしくお願いします」とご丁寧に再度確認のお電話をいただき、「当日何かお手伝いすることはありませんか?」の問いにも「これからリハーサルをします。準備をしっかり整えておきますので、当日は大船に乗った気持ちで来てください」との返事。とても大きな安心感を覚えました。

 事前準備をしっかりしておくことがそのイベントの成功に大きくかかわり、参加される人々に安心と喜びを与えるものだということを強く感じました。

 さて、私たちの手で植えた山桜にとても愛着がわきました。山桜の成長が素心学を学んでいく上で私のよりどころとなるように思いました。

 素心学では学んでいく中で、その学びを(樹木)にたとえることがあります。例えば”根深ければ葉繁し”。根がはった樹木は、養分がすみずみまで行きわたり、葉が繁っていきます。”根”の大切さを教えてくれています。その樹木の「根」にあたる部分が、人間に例えるなら「人間の徳性」です。つまり人格の土台(基本)は「人間の徳性」であり、ここがしっかりしないと「専門性」(枝・葉)は正しく生かせないということです。次に”素直な心を身につけていく上で「素心の五行」を実践し、「静かな喜び」という「木」を心の中に一本一本植えていくことが大切”と学びます。コツコツと毎日心の中を「静かな喜び」で満たしてく行動(素心の五行)の大切さを伝えてくれています。

 さらに、”木を見て森を見ず”ということにならないよう、1つ1つの徳目にとらわれず、徳目を身に付けると全体としてどのような人物になるのかを意識しておくことが大切とも学びます。このようなことを植樹した山桜との対話で思い起こしました。

 山桜は植樹された時から成長を始めます。そして、どんな環境にもめげず成長を続け、その成長を年輪として残していきます。こうした山桜に負けないよう、私も少しずつ人間的にやさしく、たくましく成長を続けたいと思いました。

 

2018年10月 333号より 芳野 栄