最近、若者や管理職にある人で、心の病を引き起こす人が多いと聞きます。私も以前軽い心の病にかかっているのかなと思ったことがあり、他人事とは思えません。
私の学んでいる素心学(池田繁美先生)でも”心のクセと病”ということでその因果関係を学んでいるにもかかわらず、知らず知らずのうちに”心のクセ”が”心の病”を引き起こしてる状況の中にいたようです。
経営していく中で問題や苦悩が多くありました。「どうして、自分の気持ちを理解してくれないのだろう」「どうしてもっと良い商品がつくれないのだろう」など「どうして・・・」「どうして・・・」と自分の思いをかたくなに押し通しそうとしていました。
このように自我の意識(自分の思いを優先させる心の働き)が強くなると、うまくいっているにもかかわらず、自分ではうまくいっていないと思い込み、その原因を自分以外の人のせいにしてしまうようになります。その結果、次第に自ら調和を乱してしまいます。すると、今度は、そのような自分に対して自己嫌悪を感じたり、自信を失うということにもなります。これから先のことに対する不安、自分のことをわかってくれないという不満、さらに人の悪いところばかりに目がいきはじめ、批判や愚痴が多くなります。そして周囲の人とうまく調和できず孤立してしまうことになるのです。
このような状態を救ってくれたのが「素心の五行」でした。このままではいけないと素心学で学んだことを行動するようにしました。まず、自然豊かなところを一人でただひたすら歩くのです。小鳥のさえずりや川のせせらぎ、草花や木々が心のわだかまりを救ってくれます。さわやかな空気を吸うと心が解放され心の落ち着きを少しずつ取り戻してくれました。
禅的瞑想を行い呼吸を調え、心の安定をはかるようにします。心の乱れは呼吸の乱れからきているということを感じました。身の回りの整理、整頓、清掃も心のリセットに有効でした。「素心の五行」で無心になることは、難しいことでしたが根気よく続けていくうちに”心のクセ”というかさぶたが少しずつはがれていくようでした。
”心のクセ” は「素心の五行」で正すことの有効性を実感できました。
素心の五行とは、
「禅的瞑想」 静かに座って呼吸を調える
「 歩 行 」 自然豊かな所を歩く
「 清 掃 」 身のまわりをきれいに掃除する
「 柔 体 」 からだをやわらかくする
「 写 字 」 文字を丁寧に書き写す
いずれも一つのことに集中し、何も思わない、考えない状態をつくり出すことを目指しています。
2018年5月 328号より 芳野 栄