木々のささやき 315号

仲よく、たのしく、明るく

 右折車に進路をゆずって、先に通してあげると、運転手がにこやかにほほえんで「ありがとう」と手をあげて喜んでくれた。「よかった」とうれしくなります。

 横断歩道の手前で車を止め、先に子どもや老人を渡たしてあげると、にこにこしながら渡って頭を下げられます。「ケガのないように。よかった」

 扉を開けて先に人にゆずり通してあげると会釈して「ありがとうございます。お先に」と言われます。人に譲ると心が満たされ、人を喜ばすと自分の心も喜んでいるのを感じることができます。心と心がかよいあうことが喜びをうんでいるように感じます。

 スタッフに「おいしそうなパンが焼き上がったね」と声をかけると満面の笑みを浮べほこらしげにほほえんでくれます。「その調子。その調子」

 給料を社員に労をねぎらいながら手渡しすると、給料袋を通して社員の笑みが伝わってきます。

「ご苦労さまでした」

 石垣島の青い空と青い海に感動の声をあげて喜ぶ社員に経営者としての喜びもひとしお。

「また来ようね」

 自分が喜びを感じて、幸せを実感でき、人を喜ばせて心が満たされ、幸せを実感できています。ふと、私達は、お互いを敬い合い、人と喜びを分かちあうことで幸せになれるのかなと思いました。

 親子仲よく、夫婦仲むつまじく、兄弟仲よく明るい家庭づくりが幸せの基本。職場でも、上司を敬い、社員同士が仲よく、共に働く仲間として尊敬し合い、仲よく仕事に励み、仲よく、たのしく、明るいそして活力のある職場づくり。経営者にとってとても価値のあること。心満たされた社員との間の信頼関係は、きっとお客様にも喜びを与えてくれるに違いありません。

 私達には、本来「周囲の人と、仲よく、たのしく、お互いに助け合いながらまた、喜ばせ合いながら生きていくことがよいことだ」ということが心の中にすでにインプットされているのだろうと思います。同時にそのようにすることで、喜びを感じ、幸福な人生を送ることができるということだろうと思います。

 今日一日、どれだけ人を喜ばすことができただろうか。そして、どれだけ、やさしい気持ちになれただろうか、謙虚に振り返る日々でありたいと思います。

 何かのご縁で、同じ時代、同じ地域、同じ職場で共に生活している私の周囲の人たち同士が、肩ひじ張らず、わがままいわず、お互いに仲よく、たのしく、明るく、手をたずさえて生きていくことは、とても幸せなことであると思います。

 

2017年4月 第315号より 芳野 栄