木々のささやき 309号

たくさんの「ありがとう」にありがとう

 全社員が、日頃から他の社員一人ひとりの行動に目を向け、行動の中から「すばらしいなあ」「ありがたいなあ」と思うことを発見する。それを毎月月末に「ありがとうカード」に書いて提出してもらうようにしています。

 提出していただいた「ありがとうカード」に目を通していますと、「はっ」と気づくことがありました。木輪の職場には、「ありがとう」がいっぱい飛び交っているんだということです。二十数名の社員が、それぞれお互いに感謝の気持ちで接していると、その「ありがとう」という感謝の気持ちから発せられる良好なエネルギーが職場の中を充満しています。さらにそうした行為を受けたとき、言葉に出して「ありがとうございます」と感謝の気持ちも伝えあっていますが、こうした良好なエネルギーが店内に広がり、お客様をあたたかく包んでくれればいいなと思っています。

 ある月の「ありがとうカード」の一部を拾ってみました。「体調をくずした時に、気づかってくれてうれしかった」「いつも丁寧に仕事を教えてくれた」「細やかなところまで気をくばってくれた」「忙しい時、手伝ってくれ助かった」「人のいやがる仕事を率先してやってくれている」「人の気づかない靴箱の掃除いつもありがとう」等々。小さなことに対して、それぞれが大きな喜びとして感じて感謝の気持ちを表わしているのです。

 人が感謝の気持ちを抱くのは、大きなことでなくても、こうした日常生活の中のちょっとした気づかいや心くばりに対しても大きな感謝の気持ちを抱くということです。こうした、ちょっとした気づかいや心くばりは、相手に対する思いやりであり、思いやりの心が行動としてあらわれていることになります。「相手に不快さを与えない、安心や喜びを与える」そうした心づかいができるようになると社員間の人間関係も良好になり、職場の雰囲気もあたたかいものとなってきます。

 私達は、ともすると他人の欠点やいたらないところに目を向けがちになります。するとお互いに相手の批判をしはじめます。同時に心はおだやかさを失い、言動は荒れ、良い雰囲気の職場とは言えなくなります。しかし、他人の良いところに目を向け、感謝の気持ちを伝えあうことで感謝された人はもちろん、感謝の気持ちを伝えた本人の心が、すがすがしく、おだやかになれます。他人の良いところに目を向けることは、とてもよいことですね。

 感謝の気持ちを伝えれるのは謙虚さのあらわれ。思いやりを施せるのは素直さのあらわれ。素直で謙虚でありたいものです。お互いにお互いの良いところに目を向け、お互いに認めあい、感謝しあい心を通わせあえる職場にしていきたいと思います。

 

2016年10月 第309号より 芳野 栄