セミの声から秋の虫たちの音に変わってきました。秋のお彼岸といえば、「おはぎ(お萩)」。もち米をあんこで包んだこのお菓子ですが、春には「ぼたもち(牡丹餅)」と季節によって呼び方が変わるそうですね。まだまだ、暑い日が続いておりますが、季節の些細な変化に目を向けつつ、今ひとときを楽しんでまいりましょう。
商売をしておりますと、様々な方にお会いします。先日、高校時代の野球部の先輩が来店されました。その先輩は、私の二つ年上なので、高校に入学して半年ほど同じグラウンドで野球をしていたことになります。五年ほど前、父が入院していた時にお見舞いに行った先で、偶然その先輩と25年ぶりに再会しました。それ以来でしたので、ふたたび再会できたことに喜んでおりました。 すると、私たちの後ろに、たまたま高校時代の野球部の顧問の先生がパンを買いに来られていたのです。「先生!!」先輩と二人で思わず大声を出してしまいました。約30年前には当たり前のように毎日高校のグラウンドで、甲子園を目指して野球していた指導者と生徒が木輪でバッタリ出会うなんて、確率で表すと数値化できないほどの出来事だと思いました。
このように、人と人は出逢い、そしてまた思わぬ所で再会を果たすということが度々あります。そして、その出逢いがきっかけで人生が大きく変わっていくということがあります。偶然のようで、どこか定められていたようで、自分の及ばない何かの力が働いているような、とても不思議な気持ちになります。
今回の出来事でふと思い出した言葉がありました。陽明学者、思想家、教育者である安岡正篤(やすおかまさひろ)が好んで使っていたと言われる「縁尋機妙(えんじんきみょう)」「多逢聖因(たほうしょういん)」という言葉です。
縁尋機妙…良い縁がさらに良い縁を呼んで発展していくこと
多逢聖因…良い人に出会うことで、良い結果が生まれること
これまでの私の人生を振り返ってみても、今思い返すととても偶然とは思えない出来事ばかりです。その最たる出逢いは両親です。そして、妻です。私に最も近い存在であり、私の人生に多大な影響を与えています。そのような身近な出逢いに感謝し、大切にしていくことが、その他のよきご縁を呼び、人生を充実したものへ導いていくのだと思います。
これからも様々な出逢いに感謝し、丁寧に接していきたいと思います。