木々のささやき 355号

安心と喜びを与える

 経営者が、社員に対して安心と喜びを与えるということは、とても大切なことだと考えています。社長の行動が、社員に対して安心と喜びを与えていると感じることがありました。

社長が、毎月社員向けに発行し続けている“切磋琢磨”という社長通信に次のようなことが書かれていました。

(前略)全スタッフ一人ずつの顔を思い浮かべながら、スタッフの良い所を20個ずつ挙げてみました。45個はすぐに思いつきましたが、20個となるとなかなか思いつきません。そこで、日常の仕事をする中で良く各人の良いところを観察するようにしました。良いところを書き出し始めて2ヶ月ほどかかりましたが、各人の良いところを20個ずつ挙げることができました。結果的には私のスタッフ一人ひとりに対する見方が変わったように感じます。それぞれ欠点はありますが、以前ほど気にならなくなり、そのことで思い悩んだり、不安になることが少なくなったように思います。(中略)今回の取り組みの中で、自分の考え方を正し、相手を好きになる努力が人間関係を良好にする上で必要だという事も実感しました。(後略)

 

私も今から十五年前に、同じように一人の社員の良い所を30個挙げるということをおこなったことがあります。その時に感じたことが“切磋琢磨”にも書かれてあるように、良いところを挙げいくことで、社員の欠けているところが見えていても、それが気にならなくなっていきました。また、社員の小さな良いところに気づいた時には、何か大発見でもしたような大きな喜びがありました。さらにそうした小さな良いところが日が経つにつれて、大きな良いところへと変化していくのを感じ、社員に対する尊敬の念へとなっていきました。このようなたくさんの良いところを持った社員が木輪で働いてくれていることはとてもありがたいことだと思いました。経営者は社員の良いところを発見し、その良いところを伸ばせる環境をつくってあげることも大事なことだと思っています。今後そうしたところにも努力してほしいと願っています。

それぞれのスタッフの良いところを20個ずつ挙げていくという今回の社長の行動は、並大抵ではなかったと思っています。こうした手間のかかる努力をコツコツと積み重ねることが社員に対して安心と喜びを与えることにつながる一方、社員がとても愛しくなってくるはずです。そこまでくると、社長と社員の間に良好な人間関係ができ信頼関係も築かれるにちがいありません。

今後とも社員に対する安心と喜びの心づかいを実践し続けていただきたいと思っています

 

2020年8月 355号より 芳野 栄