柔和なほほえみ

「立春」とは名ばかりでまだまだ寒い日が続きます。先日、梅の木に目をやると蕾が膨らみ始めているのを見つけました。春が近づいてきているのだと希望を持つことができました。現状にもしっかり目を向けつつ、近い未来にも期待をよせながら過ごしていきたいですね。

 五年ほど前ですが、天気のよい日にお店の前の草抜きをしようと歩いていました。その私の表情を見たスタッフが「社長、ものすごく険しい顔をしていますよ(笑)」と声を掛けてくれました。また、その翌日、窯でパンを焼いている私を見て先ほどとは別のスタッフから「お疲れですか。顔がいつもと違うので…」と気遣ってくれました。 そこで、私は「ハッ」となりました。元々、八の字まゆげで真ん中によった「困り顔」ですが、とりわけ、疲れていたわけでもなく悩んでいたわけでもありません。その時、周囲の人に気遣いをさせてしまうほど、こわばった表情をしていたのだと気がつきました。

 それから、コロナ禍となり、マスクをしているため、ますます表情がわかりにくくなりましたが、「いつも内面からにじみでるような柔らかい表情でいよう」と強く意識するようになりました。私が意識していたのは「和顔(わげん)」です。「和顔」とは表面上で取り繕うことのできる「笑顔」   とは異なり、内面(心の状態)から醸しだされる柔和なほほえみある表情です。ところが「言うは易く行うは難し」で、その時々の感情の起伏や体調の変化により、できていない時が多いのが現実です。

 そこで私は二つのアプローチで「和顔」を目指すようにしました。ひとつは、内面からのアプローチです。いつも心穏やかな状態を保つために、呼吸をゆっくりととのえ、瞑想や柔軟体操、早朝の散歩などをすることで、心の奥底から湧いてくる幸福感ともいえる喜びで心を満たす時間を多く作りだすことです。もうひとつは、外面からのアプローチです。マスクの中で口角を上げ、目尻を下げる笑顔を作ることです。一日三回以上を目標に取り組んでいます。特に、心穏やかでない時、自分に不都合なことが起こった時に意識するようにしています。口角を上げ、目尻を下げると不思議と心もトゲトゲが薄れていくのを実感しています。もうすぐ5年が経ちますので5000回以上は実践したことになります。回数を重ねればよいというものでもありませんが、あと5年続けて10000回以上実践すれば、少しは表情も柔らかくなり、「和顔」に近づけるのではないかと思います。

 このように、これからも内面、外面の二つのアプローチで柔和なほほえみある表情「和顔」を目指していきたいと思います。