純粋な心を意識しよう

寒さも本格的になってきました。2025年もあと一ヶ月を切りました。今年の年始に立てた目標もまだ半ばですが、今年一年どのような年になったかと振り返りつつ、次の年に反省を生かしていきたいですね。

 数年前のことですが、3月頃のまだ少し肌寒い時期でした。「天板(パンを焼く鉄の板)がくすんできたなぁ」と感じたので、ある店休日の早朝、天板磨きを始めました。長年にわたり、少しずつ蓄積してきた汚れはかなり頑固で、なかなか落ちません。30分ほど磨いたところで汗だくになりました。「どうしたら落ちるかな」「あの件(仕事のこと)は、どうしようかな」など、いろいろ考え事をしながら磨いておりました。そうしていると10枚ほどがピカピカになりました。ふと時計を見ると天板磨きを始めてから1時間が経過しておりました。磨き始めた頃より、汚れの落とし方が上手くなってきました。ところが、まだあと90枚ほど残っています。徐々に腕は硬直してきて、体中に疲労感を覚えてきました。その頃から、ただひたすらに汚れを落とすことに集中していて、あれこれ考えることがなくなりました。そして、ピカピカになっていく天板を見ると嬉しい気持ちになりました。さらに1時間半ほど経過した頃でしょうか、ゴシゴシ天板を磨いておりますと、汗だくの顔から涙がぽたぽた出てきました。特に「悲しい」という感情はありません。何も考えずにがむしゃらに磨いていただけなので、「なぜだろう?」と不思議な気分になりました。しばらくして、涙はおさまりましたが、それと同時に何とも言えない晴れやかな気分となりました。肉体はヘトヘトでしたが、急に勇気とやる気がみなぎり、とても心地よい感覚でした。その瞬間に私の背後にあるロールカーテンの隙間から朝日が差し込み、天板を照らしたのです。まるで後光が差したかのように神々しい現象でした。心の奥底からジワーッと「ありがたいなぁ」という思いが湧いてきて、温かくてやさしい気持ちになりました。決してスピリチュアルな話をする訳ではありません(笑)が、ただ無心になってひとつのことに集中することで、日頃抱いている自我執着や偏見などから離れることができ、心の奥底にある温かく穏やかな心が表に出てくるような体験をしました。

 この体験を通して、本来私にも生まれながらに持っている良心とも言うべき純粋な心というものを大切にしていきたいと思いました。