木々のささやき 305号

人の話は丁寧に聴く

 先日、新聞に次のような記事が載っていました。イングランドプレミアリーグのレスターで優勝に貢献した、岡崎慎司選手がJリーグ清水に入団したのは、二〇〇五年。その年に入った選手たちは、十年後どうなったか。岡崎のように海外リーグで活躍できるようになる選手がいる一方で、三分の二は、Jリーグから退団しているとのこと。では、どういう選手が生きのこっているのか。ずばり、「サッカー選手として活躍するにはどういう能力が必要か」。彼らを指導した人たちに聞いた結果、一番にあがったのが「傾聴力」ということです。岡崎選手の実力は、入団当初、チームの中でも下の方だったそうですが、自分の未完成を自覚し、自分を高めていくため周囲からのアドバイスをどんどん吸収していったそうです。人からのアドバスに素直に耳を傾け聴くことの大切さがわかります。

 私の学んでいる素心学(池田繁美先生)でも、人の話を丁寧に聴くことを大切にしています。それは、”社会人としての日常の心がけ”という中に「人の話は丁寧に聴く」とはっきり示されています。私は、「丁寧に聴く」ということを次の二つのように解釈しています。一つは、人の話を自分の好悪の感情をはさまず最後まで聴き届けること。特に人の上に立つ立場の人は気をつけなければなりません。人の話を途中で腰折ることなく最後までしっかり聴いてあげることです。

もう一つは、意識を話す人に向けるということです。話している人の方向に体や顔を向けて話を聴くということです。パソコンの画面を見ながら、携帯電話を操作しながら聴くのではなく、意識を向け、真剣に聴くのです。

 素心学の学びの中に、体験発表というものを取り入れています。内容は、自分に欠けているところに気づき、そこをどう正していったかを塾生の前で発表します。そうした体験発表をしっかり聴くことで、自分にも同じような欠けているところに気づくことができます。同時にそうした欠けているところを発表者がどのように正したのかも聴くことができ、自分を改める行動の参考にすることができるのです。人(発表者)の話を丁寧に聴くことで、自己変革し成長につながるのです。素心学の学びの半分以上は、このように塾長の話や仲間(塾生)の話を丁寧に聴き、自分の行動を正していくことにあると思います。

 人の話を最後まで丁寧に聴き、自分の成長につなげたいと思います。

 

2016年6月 第305号より 芳野 栄