人の良いところに目を向けよう

 秋も深まってまいりました。早朝の空気はピンと張りつめ、街路樹の落ち葉や赤と黄色が濃く目立ってくるようになってきました。暦の上では「立冬」と言われるように冬の始まりを感じさせます。風邪など引かないように冬に備えていきたいものです。

 最近のニュースを見ていますと、事件や事故、自然災害、紛争など目を覆いたくなるような出来事ばかりがクローズアップされて、心痛ましい気持ちになります。心温まるようなニュースや賞賛すべきこと、勇気づけられる話題がもっとたくさんあることを望んでいます。

 このような中で、私たちが生きていく上で欠かすことのできない「人間関係」というものが幸せになるためにとても重要だと最近特に感じています。人は誰しも自分を本能的に守ろうとする性質を持っています。そして、他人よりも自分を優先させたいと思い、その思いが強くなりすぎると、他人とぶつかり合い対立していきます。その結果、人間関係というのは悪化していくのでしょう。家族や友人、職場、地域や国と様々な範囲で衝突があります。 

 私は木輪の経営者として、このように職場内で人間関係が良好に保つ工夫が必要だと思い今月に行われる社内勉強会では「人の良いところを20個ずつ挙げよう」という課題に取り組んでいこうとしています。「1個ならまだしも20個となると…」となるでしょう。

 4年前に実際に私自身が社員全員の良いところを20個ずつ書き出してみました。ところが、大変難しく10個くらいまでは書き出せるのですが、20個となるとハードルはグンと上がります。結局2ヶ月ほど時間がかかってようやく全員分書き出すことができました。その間、一人ひとりの行動をよく観察するようになりました。「社長が何かジロジロ最近見てくる」と思われたかもしれません(笑)。そうすると、私の気持ちに変化が起こってきました。それは、社員のこと一人ひとりをとても好きになっていくということです。愛おしく思えてくるのです。もちろん、皆それぞれに長所も短所もありますが、良いところにクローズアップすると嫌なところがそこまで気にならなくなるのです。他人の嫌なところはすぐに指摘したくなる私の性格が少し改善されたような気がしました。

 人というのは自分のことは棚において他人の嫌なところばかりに注目しがちです。この性質をやわらげるためにも、今回の取組みが社内の人間関係を良好に保つきっかけとなればと考えています。