木々のささやき 303号

正しく育てる

 四月より新しく社員が入社してきました。何より数あるパン屋さんの中から木輪を選んでいただいたことに感謝しています。ありがとうございます。夢と希望を持って入社していただいたその夢と希望を実現できるように、また社会人として企業人として成長できるように正しく育てていかなければいけないと心に誓いました。

 正しく育てていく上でのヒントを先日の素心学塾(池田繁美塾長)の塾生の体験発表で得ることができました。新規採用教員(新採教員)の指導教員という立場で指導して気づくことがありました。ということで、当初新採教員の授業のすすめ方や児童との接し方など未熟なところやいたらないところを指摘し、「あの時はもっとこうすればよかったね」「こうしなければね」と指導を重ねていましたが、なかなか改善されません。そこである時からその先生の未熟な部分より、小さくても良いところをしっかり見て、その良いところをほめるようにしたそうです。すると、その新採教員は、少しずつ自信をつけ、一年後にはしっかりと育ったということです。同時に児童に対しても、児童のよいところを見つけ、ほめるようにすることで落ち着きのあるクラスができたそうです。

 また、ある塾生の体験発表ですが、「私が人前で話をしている時、皆が私の話をきちんと聞いてくれませんでした。その時とても話しづらい思いをしましたが、同時に自分もこれまで人の話を聞いていなかったことに気づきました。今後は、話す人の方向に顔を向け、きちんと丁寧に聴くようにします」と発表されました。その発表を聴いて、池田塾長は、「よくそのことに気づかれましたね。人の話は丁寧に聴くようにしましょう」とその塾生をほめられました。そして別の日、次のように話されました。

自分で自分の未熟なところに気づかないうちに、いくら「そこを改めなさい」と言ってもむしろ相手は心を閉じてこちらの思いは伝わりません。相手が自分の未熟なところ、欠けているところに自分で気づいたときに、その気づいたことをほめてあげることで、自ら欠けているところを改めようとします。

それが本当の教育です、と話されました。イソップ物語の「北風と太陽」の話にもあるように、いくら正しいことを話しても相手が心を閉ざしているうちは、こちらの思いは届きません。太陽のようにあたたかいぬくもりの心で接することで相手は心を開きます。そして、心が開いたところで思いを伝えることが大切ですと話されました。

 人を正しく育てるということは、大変むずかしいものですが、寛容な心で、忍耐づよく、新入社員に接していく覚悟です。共に成長したいと思います。

 

2016年4月 第303号より 芳野 栄